【東京カレーの旅】祐天寺「ナイアガラ」は鉄道好きの聖地!機関車が運ぶカレーに感動

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先日、主人がカレーが食べたいと言い出した。しかもだ、「電車が席までカレーを運んでくれるんだってさ」などと言うではないか。主人はいそいそと吾輩を伴って出かけた。お店の名前は「ナイアガラ」という。遥か彼方昔に一度行ったような記憶がかすかに残っている。

渋谷から東急東横線に乗り、祐天寺駅で降りた。

案内板が出ている

駅から5分ほど歩くと、閑静な住宅街にフイに踏切の音が聞こえてきた。その音を聞いた瞬間、吾輩の心は躍った。どうやら吾輩は、全国のローカル電車に乗った経験はあるが、鉄道オタクではないらしい。もしオタクであれば、もっと高揚感を覚えるのだろう。線路沿いの道を歩いていくと、目的の店が見えてきた。

店の外観は、まるで小さな駅舎のようだ。入り口には機関車の模型が飾られている。

店内に入ると、すぐにマスターに「ご乗車ありがとうございます!」と迎えられた。いや、実際はいらっしゃいませと言ったのかもしれないが、脳内変換は既に始まっているのだ。

店内は細長い作りで、壁一面には先代の駅長が長年かけて集めたという鉄道グッズが所狭しと並べられている。古い切符、ヘッドマーク、駅名標など、まさに鉄道一色だ。吾輩はただの牛だが、この空間にいると、まるで旅に出たかのような気分になった。

席に着くと、主人が「お前は機関車に乗ったことがないだろう? この店は、機関車がカレーを運んでくれるんだぞ」と興奮気味に言った。吾輩は、主人の言葉に耳を傾けながらも、メニューに目をやった。主人は「カツカレーにするか?」と尋ねた。吾輩は、ついつい張り切って「カツカレーで」と答えてしまった。お値段は1,300円。

注文を終えると、店内に設置された模型の機関車が汽笛を鳴らし、レールの上を動き出した。機関車の荷台には、吾輩たちの注文したカツカレーが乗っている。吾輩は、機関車がカレーを運んでくる様子をじっと見つめていた。機関車が吾輩の席に近づいてくるにつれて、主人の顔はだんだんと紅潮していく。機関車が席に着くと、主人は「よし!到着だ!」と叫び、カレーをテーブルに降ろした。店内には吾輩たち以外にも、何組かの外国人の客がいた。彼らは、この店のユニークな雰囲気を楽しんでいるようだった。

主人は吾輩に語りかける。「この店は、昭和38年(1963年)に開業したんだ。先代の駅長である内藤さんが、カレーづくりの師匠の『ナイル』と、自身の姓である『内藤』の『ナイ』をもじって、さらにマリリン・モンロー主演の映画『ナイアガラ』や、セントラル・ニューヨーク鉄道の機関車『ナイアガラ号』にあやかって店名を『ナイアガラ』にしたらしい。開業当初はインド風の内装だったようだが、昭和45年ごろから鉄道グッズを飾るようになり、今のようなスタイルになったそうだ。カレーは、銀座の『ナイルレストラン』で修行した内藤さんの味を受け継いでいて、創業以来変わらない伝統の味なんだってさ。昔は、カレーの上にSLの形のカツが乗っていたらしいぞ。この店は、鉄道好きの聖地として、多くの人々に愛されてきたんだ。マスターは、鉄道の知識も豊富で、色々な話を聞かせてくれるぞ」

これは面白そうだと吾輩も独自にこの店について調べてみた。あくまでも吾輩調べだ。

  • 自身の姓「内藤(ナイトウ)」と、カレーの師匠「ナイルレストラン」の「ナイル」から「ナイ」を取った。
  • 映画『ナイアガラ』(マリリン・モンロー主演)にちなんだ。
  • セントラル・ニューヨーク鉄道の「ナイアガラ号」にもあやかった。
  • 滝のように「商売繁盛が絶えないように」という願いも込められている。
  • 開業当初はインド風の内装だったが、昭和45年頃から鉄道グッズを飾るようになり、現在の「鉄道ムード満載」のスタイルに。
  • 店内にはD51の前頭部や踏切警報機、駅名板などが並び、鉄道ファンの聖地として親しまれている。
  • 「始発」「終電」「乗車券」など、鉄道用語を使ったユニークな演出が特徴。
  • 創業者・内藤さんは銀座の「ナイルレストラン」で修行し、その味を受け継いだ。
  • カレーは創業以来変わらない味で、特に「カツカレー」が名物。
  • 辛さの段階があり、「スーパー超特急」という激辛メニューも存在した。
  • 初代「駅長」内藤博敏さんは2017年に逝去。
  • 息子で「助役」の章喜さんも2024年に亡くなり、現在は「駅員3」水野高太郎さんがオーナーとして運営中。

この店の背景には、戦時疎開の経験や鉄道への郷愁、母のカレーへの思い出など、創業者の人生が深く刻まれているんだと推察した。まさに「鉄道とカレーの融合」というユニークな文化が、半世紀以上にわたって受け継がれてきた賜物なのだろう。

吾輩は、主人の言葉を聞きながら、カツカレーを食べ始めた。カレーは、昔ながらの懐かしい味がした。カツは、カリッと揚がっていて、とても美味しかった。

店内は少し暑かった。主人は「クーラーがないのも風情があって良いものだ」と嘯いているが、吾輩は暑さに弱いので正直残念だった。しかし、この暑さも、主人が語る店の歴史や、目の前を走る機関車の様子と相まって、不思議と心地よく感じられた。

主人は、店内の鉄道グッズやマスターとの会話を楽しんでいる。吾輩は、そんな主人を眺めながら、静かにカレーを食べていた。この店は、鉄道好きでなくても楽しめる店だ。しかし、鉄道好きであれば、より一層楽しめるのだろう。

吾輩は、店を出る時に、マスターに「ごちそうさまでした」と頭を下げた。マスターは、「またのご乗車をお待ちしております!」と笑顔で返してくれた。吾輩は、主人と一緒に、祐天寺駅へ向かって歩き出した。また、いつかこの店を訪れたいと思った。今度は、もっと涼しい季節に。

もし訪れる予定があるなら、店内の鉄道グッズや「発車しまーす!」のカレー提供演出もぜひ楽しんでみて欲しいところだ。鉄道好きでなくても、きっと心に残る体験になるだろう。

投稿者プロフィール

モウモウ
モウモウ大富豪になっても結局食と旅
吾輩は牛である。 名はモウモウである。 なんでも自由ヶ丘というハイカラな街のきらびやかなショーウィンドーの中でもうもう泣いていたことだけはとんと記憶している。

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