先日、吾輩は朝早く?から代々木八幡に出向き、念願の「スパイスポスト」というスパイスカレーを食した。腹を満たした吾輩は、せっかくここまで来たのだから、もうひとつの目的地を訪れることにした。それは、かねてから噂に聞いていた**「Fuglen Tokyo(フグレン東京)」**という名のカフェだ。スパイスの海を泳いだ後には、珈琲という名の静かな港にたどり着くのが、吾輩の流儀というものである。

代々木八幡駅から歩くこと8分ほど。住宅街の路地裏に、その店はひっそりと佇んでいる。木造のレトロな外観は、まるで時間が止まったかのような趣がある。この店は、遠く離れた北欧、ノルウェーのオスロに本店を持つカフェらしい。しかも、朝7時から深夜まで営業しているというのだから、吾輩のような朝型でも夜型でもない、日中にうだうだしている者には、まことに都合が良い。

店のドアを開けると、まず目に飛び込んできたのは、所狭しと並べられたヴィンテージの家具たちだ。狭いながらも、その一つ一つが独特の存在感を放ち、落ち着いた雰囲気を醸し出している。そして何よりも吾輩を驚かせたのは、スタッフの接客だ。
「いらっしゃいませ」ではなく、穏やかな笑顔で「こんにちは」と迎え入れてくれる。この一言だけで、吾輩はなんだか昔からのなじみの店に来たかのような、温かい気持ちになった。このさりげない気遣いが、吾輩の心に深く響いた。
吾輩は、店内を見渡せる窓側の席に陣取った。窓の外には、代々木公園の緑が広がり、行き交う人々をぼんやりと眺めることができる。店内には、読書に耽る人、楽しそうに談笑する外国人グループなど、様々な人々が思い思いに時間を過ごしている。外国人比率も高く、まるでオスロのカフェにいるかのような錯覚を覚えた。カウンター席に陣取った人がおもむろにPCを広げたところでスタッフから何やら言われているようだが、どうやらPC作業が禁止のようにも伺える。きっと作業よりもくつろげる空間を目指してのことなのだろう。
吾輩が注文したのは、本日の珈琲だ。この日は、ペルーのコーヒーだという。スタッフは、吾輩の注文を快く受け付けてくれた。

一口飲んでみる。うむ、少し薄い感じがする。しかし、これは決してネガティブな意味ではない。酸味や苦みが突出することなく、あくまでもバランスが良いのだ。この薄さこそが、素材本来の風味を引き出し、飲む者を飽きさせないという、ノルウェー流のコーヒーの飲み方なのかもしれない。
吾輩は、この店のホスピタリティに感服した。スタッフは、常にお客さんのことを気にかけている。さりげなく空いたグラスに水を注ぎ、困っている人がいれば、すぐに声をかける。この接客こそが、この店の最大の魅力なのだろう。
吾輩がこの店の歴史について静かに考察していると、頭の中で声が聞こえてきた。「フグレンは、1963年にオスロで誕生したんだ。最初はただのコーヒーショップだったが、店主が北欧の家具にも魅せられ、コーヒーとヴィンテージ家具を融合させた今のスタイルを確立した。そして2012年に日本に初上陸したのが、ここ代々木公園店というわけだ」
フグレンの歴史と代々木公園店
- 創業:1963年、ノルウェー・オスロにて「Fuglen(フグレン)」が誕生。
- 当初はコーヒーショップとしてスタート。
- 北欧ヴィンテージ家具やカクテルバーの要素を融合させたスタイルに発展。
- 日本初上陸:2012年、東京・富ヶ谷(代々木公園近く)に「Fuglen Tokyo」がオープン。
- ノルウェーのロースターから豆を空輸し、北欧のライフスタイルを体現する空間として注目された。
- 店名「Fuglen」はノルウェー語で「鳥」を意味し、ロゴには渡り鳥のアジサシが使われている。
- 💻 PC作業は基本的にNGです。
- 口コミによると、店内でPC作業をしている人を見かけたという情報もありますが、実際にはスタッフから使用禁止の案内があるとのこと。
- 理由としては、空間の雰囲気を保つためや、長時間の滞在を避けるためと考えられます。
- 読書や静かな会話には適しているが、作業目的には向かないカフェです。
- ☕ ノルディックロースト(浅煎り)による、果実味や花のような香りが特徴のコーヒー。
- ヴィンテージ家具と北欧デザインに囲まれた空間で、まるでオスロにいるような体験ができる。
- 夜はカクテルバーとしても営業しており、昼と夜で異なる雰囲気を楽しめる。

吾輩は、コーヒーを飲み終え、満足した吾輩は店を後にした。店を出る際にも、スタッフは「ありがとうございました。いってらっしゃい」と、笑顔で見送ってくれた。
ちなみに登戸にもFuglenのロースタリーがあるので興味がある人は行ってみるといいだろう。
- ノルディックロースト(浅煎り)を中心に、果実味や香りを重視したコーヒーが楽しめる。
- 北欧ヴィンテージ家具に囲まれた空間で、オスロの本店の雰囲気を再現。
- カルダモンロールやシナモンロールなど、北欧らしい軽食も人気。
「Fuglen」とは、ノルウェー語で「鳥」を意味するらしい。吾輩は、牛でありながら、まるで一羽の鳥のように、この店で自由で穏やかな時間を過ごした。スパイスの海を泳ぎ、珈琲の港で安らぎを得る。吾輩の人生も、旅のようなものだと、改めて感じた。
投稿者プロフィール
