
突然の「解散」と「税金ゼロ」という名の甘い青草
吾輩は牛である。この牧場の片隅で二本足の人間たちが「ブルームバーグ」なる光る板を眺めて騒いでいるのを、反芻(はんすう)しながら眺めるのが日課である。
2026年1月19日、人間界の「高市総理」という群れのリーダーが、衆議院という囲いを壊す(解散する)と宣言したらしい。人間というのは不思議な生き物で、群れのルールを決める人間を自分たちで選び直すために、一度全員の役職を白紙にするのだという。吾輩たち牛の世界では、リーダーは角の強さで決まるが、人間は「言葉」と「数字」で決めるらしい。だいたいからして総選挙をするということは、絶対に勝てる算段があるからするのだろう。
特に驚いたのは、高市総理が放った**「消費税を期間限定で0%にする」**という公約だ。吾輩にしてみれば「今日から牧草をタダで食べ放題にするぞ!」と言われているようなものだ。人間たちは普段、何かを買うたびに「税金」という名の上前(うわまえ)を国に撥ねられている。それをゼロにするというのだから、群れ全体が色めき立つのも無理はない。
【ここがポイント:政治のしくみ】
- 衆議院の解散: 任期が終わる前に、総理大臣の判断で議員全員を辞めさせ、総選挙を行うこと。
- 消費税0%の狙い: 物価が上がって困っている人たちにお金を使わせ、景気を一気に刺激すること。
しかし、吾輩は思う。タダより高いものはないと。牧草をタダにすれば、その牧草を育てている農家(国)の財布はどうなるのか。この「バラマキ」とも取れる作戦は、国民という名の羊たちを喜ばせるためのエサなのか、それとも真に国を豊かにする栄養剤なのか。二本足たちが選挙という名の鳴き合いを始めるのを、吾輩は鼻を鳴らして見守ることにする。
トピック2:市場(マーケット)という名の敏感な生き物の「消化不良」
人間たちは「マーケット」という、目に見えない巨大な怪物を飼っている。この怪物は、誰かが「税金をタダにする」と言っただけで、腹を壊したり、興奮して暴れ出したりする。ブルームバーグの記事によれば、高市総理の「消費税0%」という言葉を聞いた途端、この怪物は「警戒」という名の鳴き声を上げたようだ。
具体的には、「日本国債(国の借用書)」の金利が上がったという。金利とは、お金を貸し出す際の手数料のようなものだ。なぜ上がるのか? それは、税金をゼロにすれば国の収入が減り、足りない分を補うために国が「借金」を大量に増やすと予想されるからだ。
吾輩たち牛が、明日からミルクを出すのをやめると宣言すれば、飼い主は「将来のチーズがなくなる!」と慌てて高い金を払ってでも他の食べ物を確保しようとするだろう。それと同じで、国の収入(税収)が不安定になると、投資家という名の人間たちは「日本という国にお金を貸すのはリスクがある」と考え、より高い利息を要求するようになるのだ。
- 円安・株安の懸念: 国の借金が増えすぎると、日本のお金(円)の価値が下がりやすくなる。
- 長期金利の上昇: 銀行から借りる住宅ローンの金利なども上がり、逆に生活が苦しくなるリスクもある。
人間たちは「税金がなくなって嬉しい」と喜ぶ一方で、数字を扱うプロたちは「後で恐ろしい請求書が届くのではないか」と震えている。このアイロニー(皮肉)こそが、経済という複雑な胃袋の正体である。
トピック3:海の向こうから吹く「トランプという名の嵐」
吾輩の牧場の柵の向こう、遠く離れたアメリカという国でも、別の大きな雄牛が暴れているらしい。再選を果たしたトランプ大統領が、**「ヨーロッパからの輸入品に高い関税をかける」**と言い出したのだ。

「関税」とは、自分の国を守るために、他国の製品に「通行料」という名の罰金をかけることだ。例えば、ヨーロッパの美味しいチーズがアメリカに入るときに高い税金をかけられれば、アメリカ人は高いチーズを買わなくなり、代わりにアメリカ産のチーズを食べるようになる。一見、自分の国の農家(企業)を守っているように見えるが、これは世界中の「貿易」という名の血の巡りを悪くする行為だ。
【世界情勢のつながり】
- トランプ氏の関税: 貿易のケンカ(貿易摩擦)が始まる。
- 世界経済の混乱: どこかの国が儲からなくなると、連鎖的に他の国も損をする。
- 日本への影響: 日本の車や機械が売れなくなるかもしれない。
高市総理が日本国内で「税金をタダにして景気を良くしよう」と躍起になっていても、世界中で貿易のケンカが起きれば、日本の会社が海外で稼ぐ力は弱まってしまう。吾輩の牧草がタダになっても、外から吹いてくる風が毒を孕んでいれば、吾輩は健やかに育つことはできぬ。経済とは、一つの牧場の中だけで完結するものではなく、地球という一つの巨大な放牧地で繋がっているのだ。
トピック4:数字に一喜一憂する「二本足」たちの哲学
最後に、吾輩は「金融」という言葉について考察してみよう。結局のところ、これらは人間たちの「欲望」と「恐怖」を数値化したものに過ぎない。
高市総理の解散宣言は、政治家にとっては「権力の維持」であり、国民にとっては「目先の生活の損得」であり、投資家にとっては「数字のギャンブル」である。同じ一つの出来事が、立場によってこれほどまでに見え方を変えるのは、人間特有の滑稽さである。
消費税を0%にすれば、一時的に人間たちは幸福を感じるだろう。しかし、その減った分の穴をどう埋めるのか。未来の子供たち、つまり今の中学生諸君が、その「ツケ」という名の重い荷物を背負わされることになる。吾輩たち牛は、未来の仔牛のために草を残しておくが、人間は今の自分たちが食べるために、未来の森を焼き払うこともあるようだ。
吾輩は今日も、草を食(は)み、反芻する。人間たちが「お金」や「選挙」という名の幻影を追いかけて右往左往するのを、ただ静かに眺めている。彼らが賢明な選択をするのか、それとも目先の甘い草に釣られて泥沼に足を取られるのか。まあ、どちらにせよ吾輩の出すミルクの味は変わらぬのだが。
いずれにせよ1/23の衆議院解散発表予定であるので、それを受けて市場の経済そして金融の世界がどう動くのかが今から見ものであり、怖くもあるが、ジェットコースターに乗った気分で何が起こるのかを楽しもうではないか。
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