仙川のキューピーマヨネーズ工場見学体験記|アクセス・見どころ・お土産まとめ

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さて、このたび吾輩はご主人にひっぱられて、仙川なる場所にあるキューピーマヨネーズ工場という、なんとも白濁した夢の王国を見学することとなった。アクセスは京王線仙川駅から徒歩でわりとすんなり辿り着いたのだが、ご主人いわく「この道は一度バーニーズ・マウンテンドッグと一緒に迷ったことがある」とのこと。なぜバーニーズが急に登場するのか、吾輩には一生わからないだろう。この人間という種族は、常に脈絡のない記憶を反芻するという点で、牛と変わらない。

モウモウ

ちなみに吾輩は大のマヨラーなのだ。カレーにかけるとマイルドになって、とっても旨いぞ。

目次

いざ、工場見学へ

中に入るやいなや我々は即座にチーム分けされ、まるで牧場の牛舎よろしく「こちらはグループA、こちらはB」と区切られた。

人間という種は群れを細かく仕分けることにおいて、牛よりもさらに几帳面らしい。吾輩などは角の立派さで分類されるべきだと思うのだが、世の中そう都合よくはいかない。

最初のグループは試食室へ直行。

モウモウ

え?もう試食なの?早くない?

とは思ったものの、先方にも都合というものがあるのだろう。人間とはかくも面倒な生き物であろうか。

そしてお皿に並ぶのは立派なキュウリであった。いや、あのシャキッとした緑の棒は、この世のどの牧草よりもみずみずしかった。そこへ、ずらりと並ぶマヨネーズたち――ノーマル、カロリーハーフ、燻製、アマニ油、などなど。ご主人はうれしそうに全種を塗りたくっていたが、吾輩は本能的に燻製マヨに角を突っ込んでしまった。鼻腔に立ちのぼるスモーキーな香りに、牛としての理性が溶けた。これぞまさに、草食動物の堕落である。子ども向けのクイズもあった。

マヨネーズの歴史とキューピーの企業努力の結晶

そしてマヨネーズの歴史説明である。これがなんとも壮大な物語であった。18世紀半ば、メノルカ島でフランス軍のリシュリュー公爵が港町マオンで料理屋に入り、お肉に添えられたあるソースに出会ったのが始まりとされる。つまりマヨネーズとは、戦争の最中に生まれた平和の調味料なのである。まるで愛と憎しみが同じ心臓から湧き出るように、破壊と創造は紙一重なのだ。

その後マヨネーズは19世紀にフランスで本格的に普及し、やがて海を渡って日本へとやってきた。1925年(大正14年)3月に国産初のマヨネーズ(キユーピーマヨネーズ)の製造を開始したのが、創立者の中島董一郎が若いころのアメリカ留学時代にマヨネーズと出会い、1919年(大正8年)、東京府豊多摩郡中野町(現在の東京都中野区小滝町)に食品工業株式会社を設立したキューピーである。中島董一郎という人物は、まさにマヨネーズ界のコロンブスであった。新大陸で白い黄金を発見し、それを故郷に持ち帰った探検家なのだ。

驚くべきは、この中島董一郎という男の執念である。愛知県幡豆郡今川村(現・西尾市今川町)に生まれ、中島家は代々眼科医の家柄であったにも関わらず、彼は医学の道を捨ててマヨネーズに人生を賭けたのである。眼科医の息子がマヨネーズ職人になるとは、まるで牛が突然歌劇を志すようなものではないか。しかしその情熱こそが、日本の食卓を革命したのだ。

モウモウ

吾輩のようなマヨラーになるとこういう歴史は大変興味深い

現在、キューピーは日本のマヨネーズ市場でランキング1位を誇り、キューピーと味の素でシェア95%ぐらいという寡占状態を築いている。さらに驚くべきは、米アマゾンで人気であることだ。「欧米のマヨネーズは卵の黄身も白身も使う全卵タイプで淡泊なものが多いのですが、キューピーは黄身だけ使った卵黄タイプ。よりコク」があることが人気の理由らしい。つまりキューピーは、卵黄という太陽の部分だけを抽出した、濃縮された生命力の塊なのである。

工場見学の見どころ

見どころといえば、やはり卵割りマシーンである。機械が一瞬で殻を砕き、黄身だけをすくい取る様子は、まるで産業革命が鶏に対してリベンジしているかのようだった。あの小さな黄金の球体を、吾輩は心の中で「太陽の分身」と呼んだ。しかし今回は映像のみの見学であったため、実際の機械の迫力を感じることはできなかった。前回の崎陽軒シウマイ工場で体験した、あの蒸気と熱気と油の香りが交じり合った生命感――それに比べると、液晶の向こうの卵たちは、どこか遠い銀河系の存在のように思われた。

ちなみに工場の内部装飾も徹底していた。電球までがマヨネーズ型であり

天井の照明はすべて卵型に設計されている。

説明ブースの壁はマヨネーズ色に塗られており、全体がひとつの巨大なサンドイッチの中にいるようだった。あの空間では、もはや重力すらマヨネーズの粘性で保たれている気がした。来場者は皆、無意識のうちにマヨネーズ的思考回路に洗脳されていくのである。

お土産と後日談

最後にはお土産までもらえた。吾輩は当然、燻製マヨを選んだ。あのスモーキーな香りは、まるで秋の夕暮れに焚き火を囲んでいるような郷愁を誘う。ご主人は体脂肪率なる数値を恐れているらしく、アマニ油入りマヨネーズを選んでいた。健康志向という名の現代病に冒されているのだろう。

しかし、だ。帰り道、彼はスーパーに立ち寄るや否や、からしマヨとトリュフマヨをカゴに投げ込んでいた。どうやらご主人という生き物は、理性よりもマヨに従属しているらしい。工場見学という名の洗脳が、早くも効果を発揮したのである。吾輩はその様子を見て、人間の意志の弱さと、マヨネーズの魔力を再確認した。

要するに、マヨネーズとは文明の乳化であり、卵と油と酢の不揃いな三者が、愛という撹拌機で一つに混ざった結果なのである。まるで家族…いや、牛舎の群れのようではないか。異なる成分が一体となって、より複雑で豊かな味わいを生み出す。これこそが調和の本質であり、マヨネーズは液体の哲学書なのだ。

ともあれ、仙川のマヨネーズ工場は、油と卵と夢が織りなすひとつの白い惑星であった。帰りの電車で、ご主人は「また来ようか」と言った。吾輩は反芻しながら静かに頷いた。今や吾輩の血もまた、少しマヨネーズ色になっている気がするのである。そして鏡を見ると、角の先端がほんのりと黄色く光っているのに気づいた。これはマヨネーズ中毒の初期症状なのかもしれない。

投稿者プロフィール

モウモウ
モウモウ大富豪になっても結局食と旅
吾輩は牛である。 名はモウモウである。 なんでも自由ヶ丘というハイカラな街のきらびやかなショーウィンドーの中でもうもう泣いていたことだけはとんと記憶している。

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