大間の本マグロ丼を食べに行くだけの青森日帰り弾丸旅行記 – 新幹線で挑む本州最北端グルメ紀行

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全国制覇まで残すところあと6県となった。昨年は岐阜に行き念願の岐阜城に登ったが、今度は本州最北端の青森へと向かうことになった。金銭的事情により日帰りという暴挙に出た主人の行動力だけは、相変わらず常軌を逸している。

ご主人

モーモー、今回は大間の本マグロが目標だ!

と主人は意気込むが、大間まで行く時間的余裕など皆無であることは、牛の吾輩でも理解できる。結局のところ、青森駅周辺で済ませるお手軽旅になることは火を見るより明らかだった。

目次

はやぶさ11号で北へ – 新幹線ダイヤの妙

朝9時36分、我々は東北新幹線「はやぶさ11号」函館北斗行きに乗り込んだ。

東北新幹線・北海道新幹線 路線図(一部)

東京 ── 上野 ── 大宮 ── 仙台 ── 盛岡 ── 新青森 ── 新函館北斗
 │      │      │      │      │       │         │
9:36   9:43   10:04  11:31  12:35   13:34    14:22

※はやぶさ11号時刻表(参考)

主人が購入したのはボトル缶コーヒー一本のみ。吾輩としては、この金欠ぶりがいっそ清々しいと感じた次第である。

車窓から見える風景が次第に北国らしくなってくると、主人は「モーモー、青森のりんごって実は明治時代にアメリカから導入された品種が基になってるって知ってた?」と語り始める。

またしても我が主人のうんちく大会が始まった「津軽藩が洋式農業を奨励したんだよ。でも本格的な栽培が始まったのは1875年頃からなんだ」

主人の無駄知識はいつものことだが、旅の退屈しのぎには丁度良い。しかしこんなに遠くにきたのは長崎以来かもしれない

新青森到着 – 要人警備の謎

13時34分、新青森駅に到着すると、駅構内に警察官がわらわらといる光景が目に飛び込んできた。

「おい、何事だ?」と主人が駅員に尋ねると、「国の要人が演説にお見えになるそうで」との回答。

吾輩は思った。青森まで来て政治家の話を聞くために時間を費やすなど、本末転倒も甚だしい。我々の目的は美食であって政治談義ではない。

新青森駅の建物は意外にもモダンで、北の玄関口としての威厳を保っている。駅構内を見回していると、主人が急に興奮し始めた。

ご主人

モーモー、ついに青森だ!本州最北端まで来たんだ!

函館本線で青森駅へ – 一駅の旅情

函館本線に乗り換え、約5分で青森駅に到着。たった一駅だが、この短い区間にも津軽の風情が感じられる。

奥は青い森鉄道

青森駅は昭和61年(1986年)に現在の場所に移転した比較的新しい駅だが、その前身は明治24年(1891年)に開業した歴史ある駅だった。日本最北の本州駅として、多くの旅人を迎え続けてきたのである。

ご主人

昔はここから青函連絡船が出てたんだよな。1988年まで80年間も本州と北海道を結んでいたんだな

と主人が感慨深げに呟く。

青森駅

青函トンネル開通により連絡船は廃止されたが、青森駅前には今もその面影を残すモニュメントが立っている。

青森魚菜センター – 着丼ドーンの洗礼

事前に調べていた「青森魚菜センター本店」へ直行する。駅から歩いて約10分、思ったより近い距離だ。

この市場は昭和40年代に開設され、青森の台所として地元民に愛され続けてきた。特に「のっけ丼」というシステムが観光客に大人気で、最初に食事券(約2000円分)を購入し、市場内の各店舗を回って好きな海鮮ネタを選んでもらい、最終的にオリジナル海鮮丼を作り上げるというユニークなスタイルが売りだ。

「おい、どうするんだ?」と主人が困惑している。吾輩も同様に戸惑っていた。

「いらっしゃい!食事券買って、好きなお店回ってくださいね!」と元気な店員さんが説明してくれる。

まず券売機で2000円分の食券を購入。これがなかなか複雑なシステムで、主人は「なんだこれ、ゲームみたいだな」と苦笑い。

最初に向かったのはマグロ専門店。「大間のマグロはないの?」と主人が尋ねると、「今日は本マグロの中トロがありますよ!」との返事。

「おお、これこそ求めていたものだ!」

次にウニ専門店へ。青森のウニは利尻昆布を食べて育つため、甘みが強いのが特徴だという。「モーモー、ウニってウンチクでいえば、実は昆布の種類で味が決まるんだぜ」

店主のおじさんが「牛さんも一緒に食べるの?」と冗談を言うので、「吾輩は反芻動物なので海産物は遠慮いたしますモー」と答えると大いに笑われた。

イクラ、サーモン、ホタテと順番に選んでいく主人。最後にアオリイカを追加して、ついに完成。

着丼ドーン!!

色とりどりの海鮮が美しく盛られた丼が主人の前に置かれた。まさに青森の海の宝石箱である。

主人が一口食べると、「うまい!これは本当にうまいぞ、モーモー!」と興奮する。

「君には駅で青森県産の美味しい牧草をお土産に買ってやるよ」

主人の優しさが身に染みる瞬間である。

アスパム – 三角塔からの展望

腹ごしらえを済ませた我々は、青森県観光物産館「アスパム」へ向かった。高さ76メートルの三角錐の建物は、青森のランドマークとして1986年に建設された。この独特な形状は、青森の「A」をイメージしたものだという。

14階の展望台へ上がると、青森市街が一望できる。晴天に恵まれた今日は、津軽海峡の向こうに北海道の山々まで見渡せた。

「あそこが北海道だ!本州最北端から見る北海道だぞ!」

主人の感動は理解できるが、吾輩としては足元に見える青森市街の方が興味深い。碁盤の目のように整然と区画された街並みは、城下町として発展した青森の歴史を物語っている。

1階の物産館では青森県の特産品が所狭しと並んでいる。りんご関連商品はもちろん、にんにく、ホタテ、津軽塗など、青森の魅力が凝縮されている。

「これだけ見てるだけでも青森を満喫した気分になるな」と主人。

A-FACTORY – りんごの楽園

続いて向かったのは青森駅から徒歩1分の「A-FACTORY(エーファクトリー)」。2010年にオープンしたこの施設は、青森のりんごをテーマにした複合施設で、シードル醸造所としても有名だ。

館内に入ると、りんごの甘い香りが漂っている。カフェではりんごサイダーや、りんごを使ったスイーツが楽しめる。主人はりんごサイダーを注文し、「炭酸の効いた青森の味だ!」と満足そう。

工房では実際にジャム作り体験ができるが、時間の関係で見学のみ。それでも職人の手さばきを見ているだけで楽しい。

「モーモー、青森のりんご生産量は全国の約6割を占めるんだってさ。津軽平野の水はけの良い土壌と、昼夜の寒暖差がりんご栽培に最適なんだよ」

建物のデッキからは青森湾が一望できる。時間はまだ14時頃で、16時の新幹線まで余裕がある。

「海が見えるけど、海洋生物は見当たらないな」と主人が双眼鏡を覗き込む。

「当然でしょう。ここは港湾地区ですから、野生のクジラが泳いでいるわけではありません」

駅グルメ – にんにくコロッケの試練

青森駅に戻り、お土産物色タイム。駅構内で見つけたのは「青森名物にんにくコロッケ」

「これぞ青森のB級グルメだ!」と主人が意気込んで購入。

一口食べると、「うーん、身がパサパサしてる…」確かに見ていても、ボロボロと身がこぼれている。期待値が高すぎたのかもしれない。

ニンニクコロッケ

「そうだな。全部が美味しいわけじゃないのも、旅の醍醐味か」

お土産タイム – 津軽の味を持ち帰る

吾輩のお土産選びは慎重だった。青森のリンゴサイダーと、津軽煮干しラーメン「長尾」のインスタントラーメンを購入。

「長尾中華そばは青森のソウルフードですからね」

長尾中華そばは昭和26年創業の老舗で、津軽地方の煮干しを使った澄んだスープが特徴。インスタント版でも本格的な味が楽しめると評判だ。

帰路 – 日帰り青森の達成感

16時頃の新幹線で東京駅へ向かう我々。車窓から見える青森の景色に別れを告げる。

「モーモー、日帰り青森だったけど、意外と楽しめたな」

主人の行動力には今回も感服した。朝の9時半に東京を発ち、夜には帰宅するという強行軍だったが、青森魚菜センターでの海鮮丼、アスパムからの絶景、A-FACTORYでのりんご体験と、充実した一日だった。

吾輩は思う。旅とは距離や時間の長さではなく、その土地の空気を感じ、文化に触れることなのだと。たとえ日帰りであっても、青森の海の恵み、りんごの甘い香り、津軽の人々の温かさを十分に堪能できた。

牛である吾輩が言うのもおかしな話だが、人間とは実に貪欲な生き物だ。限られた時間の中で最大限の体験を求め、それを成し遂げる。主人のそんな姿を見ていると、時には無謀とも思える挑戦こそが、人生を豊かにするのかもしれないと考えさせられる。

全国制覇まで残り5県。次はどこへ向かうのか、吾輩も楽しみである。

投稿者プロフィール

モウモウ
モウモウ大富豪になっても結局食と旅
吾輩は牛である。 名はモウモウである。 なんでも自由ヶ丘というハイカラな街のきらびやかなショーウィンドーの中でもうもう泣いていたことだけはとんと記憶している。

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